発酵食品である「ぬか漬け」は美容や健康に良いとされています。
「ぬか漬け」は、江戸時代には一般的に食べられていて、栄養価の高くする手法として日本全国に普及しました。
ここではそんなぬか漬けの栄養やぬかみその作り方、カビが生えた時の対応などをお伝えします。
ぬか漬けの栄養について
日本には納豆、みそ、しょうゆ、甘酒、そして「ぬか漬け」などの美容や健康に良いとされる発酵食品がたくさんあります。
では、具体的にぬか漬けにはどんな良いことがあるのでしょうか?
「ぬか」とは、玄米を精米したときの抜け殻のことをいいます。
まず、野菜をぬか漬けにすると栄養素であるビタミンB1が増加します。
実に、ぬかには白米の20倍ものビタミンB1が含まれているのです。
ビタミンB1は水溶性のビタミンのため、ぬか漬けにすると野菜にしみ込むのです。
きゅうりには栄養がほとんどないといわれていますが、ぬか漬けにするとぬか床の栄養素も取り入れてくれます。
きゅうりにあるホスホリパーゼという脂肪燃焼酵素に加えて、ぬか漬けのビタミンB1も摂取できるので、ぬか漬けにした方が良いです。
一般的に、ビタミンAは免疫力を維持するのに役立ち、乾燥肌などにも良い対策ができると言われています。
ビタミンAを摂取し過ぎると、頭痛や吐き気などが起こる可能性がありますので注意してください。
また、ビタミンAが不足すれば夜盲症や角膜軟化症の恐れがでますのでこちらも注意してください。
ぬか漬けには、ビタミンAの他にもカルシウム、タンパク質、炭水化物、鉄分なども少しずつ摂取できます。
ぬか漬けにするだけで、こんなにたくさんの栄養素が加わるのでこれを食べない手はないです。
ぬか床の材料の「米ぬか」にもたくさんの栄養があります。
ビタミンE、r−オリザノール、フェルラ酸、フィチン酸、イノシトールなどです。
ぬか漬けにはこれらのぬか床の成分も浸透しているのです。
ぬか漬けにできる野菜はm切り口が水っぽくならない野菜ならなんでも大丈夫です。
ですが、玉ねぎなど香りが強い野菜は、ぬか床に香りが移ってしまうためにぬか漬けには向きません。
ぬか漬けがおすすめな野菜は、人参、きゅうり、なす、大根、ミョウガなどの夏野菜です。
葉物野菜の白菜、レタス、キャベツなどは、一度浅漬けにして水分を程よく抜くと、ぬか漬けにできます。
他にも、加工食品をぬか漬けにすると一味違った食べ方ができます。
こんにゃく、魚肉ソーセージなども美味しいおかずになります。
魚もぬか漬けにできて、そのまま食べても美味しいですし、焼いても食べても美味しいです。
若狭地方の「へしこ」はサバのぬか漬けのことで、昔からよくある食べ方なんです。
そんなすべてが良いように思えるぬか漬けにもデメリットがあります。
それは「塩分」です。
ぬか漬けの大根3切れで、塩分がおおよそ0.9gくらいもあるようです。
塩分の取りすぎは、高血圧などの生活習慣病に深く関わるため注意が必要です。
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」(2010年版)では、食塩摂取量の一日あたりの目標量は、成人男性が9g未満、女性が7.5g未満です。
では、しばらくぬか漬けを作らない場合はどうしたらいいのでしょうか?
旅行で家を空けてしまう時など、ぬか床をかき混ぜられない場合には、ぬか床を密封して冷凍しておきましょう。
そして、再度使うときは、冷蔵庫に入れて自然解凍するようにしてください。
また、ぬかを洗うかどうか迷ってる方も多いようですが、ぬか漬けのぬかは食べられる味覚や触感ではないため、すべて洗い流すのが一般的となっています。
糠味噌の作り方
糠床とは、酵母、乳酸菌、その他の一般細菌(腐敗菌も含む)の3種類が微生物的にバランスしている状態になっています。
その中にはカビも含まれています。
そしてこれらの微生物の状態で、各家庭の味が異なってきます。
お手入れの状態でも変わりますが、これが家庭の味といわれています。
・容器
市販されている糠床はポリ袋ですので、漬物樽のような容器に移した方が良いです。
本来の糠味噌は冷蔵庫に入れるものではなく、常温保存すべきものです。
・糠を加える時機
味噌のように軟らかくなったら糠を加えて下さい。
加える糠は、炒り糠の必要はありません。
本来は新しい生糠がいいのですが、手に入らないため、市販の炒り糠になります。
糠床にちゃんとなった後は、糠床の微生物による制御が働くため、炒り糠を使う必要はないのです。
・食塩
食塩については好みですが、少し高めにした方が、異常発酵を抑えることができます。
自分の口で塩分濃度を確かめても大丈夫ですが、後で口をすすぎましょう。
・味
家庭の糠床に育てると、市販のものを購入した時とは味が変わります。
糠床は使っていけば家庭の味に変わって行くものです。
ぬか味噌に生えたカビの対処法
初めてぬか床に生えたカビを見ると、たいていの人が驚きます。
でも、ぬか床のカビを知るほどに、ぬか漬けの趣深さが良く分かるのです。
では、ぬか漬けのカビに関する疑問をみていきます。
ぬか床にカビが生える原因は、ぬか床のかき混ぜ不足がまず挙げられます。
乳酸菌は空気を嫌うため、ぬか床内部には乳酸菌が多く存在しますが、逆にぬか床の表面は空気に多く触れるため、乳酸菌が少なくなります。
乳酸菌が少ない状態だと、他の菌が増えやすくなり表面にカビが生えてしまいます。
他の菌を増やさないためにも、ぬか床全てに乳酸菌を届けなければなりません。
乳酸菌を均一にするために、冬場は1日1回、夏場は1日2回以上、底の方から持ち上げるようにかき混ぜるとよいです。
ぬか床の乳酸菌が育つ適温は20~25度といわれています。
それよりも熱いと酸が多く出てしまい、それを長期間放置すると、カビが生える原因となってしまうのです。
このようにしないために、ぬか床を冷蔵室や野菜室に保存して冷やしてあげましょう。
冷蔵庫に入らない時は、凍ったペットボトルや蓄冷剤をぬか床に入れることで冷やせます。
また、ぬか床に野菜を何度も漬けると、野菜に塩分が吸収され、ぬか床の塩分が少なくなります。
塩分が少な過ぎる状態だと、乳酸菌だけでなく、ほかの菌も活発になってしまうため、カビが生える原因になります。
ぬか床の量や漬ける野菜によって違いはありますが、4~5回漬けた後には、ぬか床に小さじ1杯くらいの粗塩を加えてかき混ぜると良いでしょう。
かき混ぜる際は、野菜を全部取り出し2~3日ぬか床を休ませましょう。
それから、ぬか床に水分が増えると、ぬか漬けが美味しくできないだけでなく、雑菌が繁殖しやすい環境になっているということです。
これは、カビにとって良い環境ですので、水分を定期的に取り除かなくてはなりません。
対処法としては、キッチンペーパーやスポンジを使用して水分を取り除きます。
市販されている水抜き器も、簡単に水分を取り除けますのでおすすめです。
足しぬかでも水分を減らせますが、足しぬかだけだと塩分も減ってしまうので、必要に応じ塩も一緒に加えたほうが良いです。
ぬか床に生えるカビは一種類ではありません。
色によって、白、黒、赤、青、緑、オレンジなど、様々なカビが存在し、これらの色の中で白以外のカビは全部危険なカビになります。
白いカビは、産膜酵母で酸素が大好きな、フルーツのような匂いがする菌です。
食べても害は無いので、少しくらいなら問題はないですが、大量だとぬか漬けの味が落ちるため対処した方が良いです。
一番簡単な対処法は、冷蔵庫に保存することです。
常温で保存する際は、最低でも1日1回は底と表面を入れ替えるようにかき混ぜれば、一週間くらいで改善します。
色つきのカビは全て危険なカビで、ぬか床に生えたときは速やかに取り除きましょう。
色つきのカビの原因は、ぬか床に動物性の食品をたくさん入れたり、温かい場所に長期間放置したり、かき混ぜが不十分だったりした時に発生します。
色つきのカビの対処法は、ぬか床に生えたカビの部分は全て捨てます。
目安としては、ぬか床の深さ3cmくらいを取り除いて捨てて、残りのぬかを取り出します。
取り出した容器を洗って天日干しで良く乾かします。
綺麗な容器に取り出したぬかを戻せば、再び食材を漬けることができます。
また、もしぬか床を開けただけで腐敗臭が酷い場合は、全てのぬかを捨てて新しく作り直しましょう。
ぬか床の表面が黒く変色した場合も、ぬか床が腐敗した可能性があるので、新しく作り直すことをおすすめします。
たった90分で本格ぬか漬け
まとめ
いかがでしたか?
ぬか漬けは単なる伝統食ではなく、現代科学でみても体や腸で働く栄養素を多く含んでいることがわかりました。
ただし塩分が多いので食べ過ぎには注意しなければいけませんが、野菜などの食材をより栄養価を高くしてくれる働きがあるので、すごく良い発酵食品です。
ぬか漬けを食卓に取り入れて、美容や健康に良い食事をしていきましょう。