若返りのビタミンとして注目されている「ナイアシン」を知っていますか?
「心の病」を治すビタミンとして有名でしたが、近年では、エイジングケアや、傷ついた臓器・筋肉細胞の修復作用など、さまざまな若返り対策ができること明らかになってきました。
ここではそんなナイアシンの基礎的な知識や作用、含まれる食品についてご紹介していきます。
ナイアシンとは
ナイアシンはニコチンアミドという物質と、ニコチン酸という物質の総称です。
ナイアシンはビタミンB群の中で3番目に発見された物質として、別名「ビタミンB3」とも呼ばれています。
ニコチンアミドとニコチン酸の名前の由来は、もちろんニコチンからきています。
ニコチンはたばこの葉っぱに含まれる物質です。
ニコチンと化学的な構造が似ているため、ニコチンアミド、ニコチン酸と名付けられました。
ニコチンは有害物質として知られています。
しかし、ニコチンアミドとニコチン酸ともにニコチンとは別物で、毒性がある物質ではありません。
ですので、ニコチンと区別するため、ニコチンアミドとニコチン酸を総称してナイアシンと名付けられたのです。
ナイアシンもビタミンB群の仲間ですから、ほかのビタミンB群と同様で、エネルギー代謝にかかわる酵素の補酵素として働きます。
また、ナイアシンはニコチンアミドやニコチン酸を取り入れるだけでなく、アミノ酸からも作れるのです。
そのアミノ酸はトリプトファンといいます。
ですので、たんぱく質をしっかり摂っていれば、トリプトファンというアミノ酸から作ることができるので、不足することはありません。
ナイアシンの生理作用
先ほども述べた通り、ナイアシンはニコチンアミドとニコチン酸の総称です。
ニコチンアミドは動物性食品に含まれています。
そしてニコチン酸は植物性食品に含まれています。
ですから、ナイアシンは様々な食品に幅広く存在しています。
また、アミノ酸であるトリプトファンからも合成することができます。
トリプトファン60mgからナイアシン1mgが作られます。
ナイアシンはエネルギー代謝でとても重要な働きがあり、三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質すべての代謝にかかわります。
これらが体内でエネルギーに変わる過程で、必要な酵素の補酵素としてナイアシンがかかわるのです。
ということは、ナイアシンは三大栄養素がエネルギーに変化する過程で欠かせない存在ということです。
それ以外にも、体内の約500種類の酵素の補酵素として必要とされているのがナイアシンです。
体内の酵素の約20%は、ナイアシンが補酵素として必要といわれるぐらい重要なビタミンなのです。
また、ナイアシンは皮膚や粘膜の健康を維持し、神経の安定にも必要な栄養素です。
ナイアシンは医薬品では、口内炎、皮膚炎など皮膚や粘膜のトラブルの治療に使用されています。
精神的な面においても、イライラ、不眠、めまいなど、ナイアシンが不足することで起こる症状は様々です。
さらにナイアシンはアルコール代謝でも大きな役割を担っています。
アルコールは体内で吸収され、最終的に肝臓で分解されます。
それはアルコール、アセトアルデヒド、酢酸、水・二酸化炭素の順番で分解されます。
アルコールは、アルコール脱水素酵素でアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素によって無害な酢酸に分解されます。
ナイアシンはアルコールを分解する過程で重要なこの2つの酵素の補酵素としても働いています。
このようにお酒を飲めば飲むほど、ナイアシンの必要量が増えていくのです。
ナイアシン欠乏症と過剰症
ナイアシンの欠乏症といえば、ペラグラ(pellagra)が有名です。
ペラグラの初期症状は皮膚が剥離し始めます。
そしてやけど跡のようなピンク色に皮膚が変化し、顔面から、全身・舌がヒビわれ、下痢や胃腸障害など様々な症状が起き、最後には鬱などの精神異常を起こす病気です。
18世紀にアメリカやヨーロッパのある地域に集中してこのペラグラは起こりました。
その地域はトウモロコシを主食とする地域で、実はトウモロコシは必須アミノ酸であるトリプトファンが少ない食物です。
トウモロコシを常食としているとトリプトファンの摂取量が少なくなるので、ナイアシンが体内で不足します。
その結果、ペラグラになってしまう人が増えたのです。
日本でも極めて稀ですがペラグラは見られます。
それは常習飲酒者、つまりアルコール依存症の人です。
お酒を大量に飲む人はナイアシンの必要量が増え、飲酒量に対してナイアシンが足りなくなると、欠乏症になります。
肉や魚をあまり食べない方、お菓子が食事代わりの方、飲んだら食べない方、インスタント食品が多い方も注意しましょう。
また、ナイアシンは水溶性ビタミンですが、過剰症も存在します。
ニコチン酸を過剰摂取した場合は、血管が拡張し皮膚が赤くなったり、むずがゆくなることがあります。
また、ニコチンアミドの過剰摂取の場合は、下痢や嘔吐などの胃腸障害、肝毒性、消化性潰瘍の悪化などがあります。
普通の食事さえしていれば、欠乏症も過剰症もほとんど心配いりません。
医薬品やサプリメントで摂取する場合は、決められた使用量をしっかり守ってください。
ナイアシンの食事摂取基準
ナイアシンの食事摂取基準は、成人の男女で、10~15mgNE/日摂取が目安とされています。
またナイアシンは1日の摂取上限量が定められていますので、ご注意ください。
ナイアシンを多く含む食品
1食分の目安量・・・1膳(150g)
成分含有量・・・3.8mg
1食分の目安量・・・1/3パック(30g)
成分含有量・・・2.7mg
1食分の目安量・・・1/3パック(30g)
成分含有量・・・2.5mg
1食分の目安量・・・1腹(40g)
成分含有量・・・19.8mg
1食分の目安量・・・1切れ(100g)
成分含有量・・・19mg
1食分の目安量・・・1切れ(80g)
成分含有量・・・12.2mg
1食分の目安量・・・1切れ(80g)
成分含有量・・・11.4mg
1食分の目安量・・・1切れ(80g)
成分含有量・・・8.3mg
1食分の目安量・・・適量(50g)
成分含有量・・・7mg
1食分の目安量・・・適量(50g)
成分含有量・・・6.8mg
1食分の目安量・・・適量(50g)
成分含有量・・・6.8mg
このような食品にナイアシンは多く含まれています。
お酒を良く召し上がる方は覚えておいてください。
ナイアシンの効率的な摂取方法
ナイアシンは動物性食品に多く含まれています。
しかし、植物性食品にも含まれています。
要は、ナイアシンは幅広くいろいろな食材に含まれているのです。
肉や魚などの動物性食品にはナイアシン自体も多く含まれていますが、合成原材料のトリプトファンも豊富に含まれています。
ですので、動物性食品を食べていれば、ナイアシンが不足することはありません。
また、ナイアシンは熱に強い性質のため、調理中に栄養素が壊れる心配もありません。
酸性にもアルカリ性にも強い性質を持っています。
水溶性なので、煮汁なども一緒に食べられるお鍋やスープなどの調理方法がおすすめです。
使わない栄養食品やサプリをリサイクル
体に合わなかった、定期購入したが利用しなくなった健康食品、サプリメントなど家にありませんか?
その栄養食品やサプリメントを必要な人がいるかもしれません。
賞味期限があれば高く売れます。
そして結果、人のためになる良いことにもなるのです。