東京国立博物館蔵「見返り美人図」菱川師宣

東京国立博物館蔵「見返り美人図」菱川師宣

東京国立博物館
上野にある東京国立博物館に、菱川師宣によって描かれた「見返り美人図」という作品が所蔵されています。
赤い着物を着た女性が振り返る様子が描かれた作品で、1人立ち美人図として日本で最も有名な作品です。
記念切手の図案として有名なので、「見返り美人図」を目にしたことがあるといった方は多いかと思います。

今回は、東京国立博物館の観光、菱川師宣、見返り美人図などについてご紹介いたします。

東京国立博物館

東京国立博物館は、1872年(明治5年)に湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会の際に誕生した日本で最も古い博物館で、わが国最大の博物館です。
日本古美術品を中心に、考古資料、東洋美術品など約117,000件以上を収集・保管しを、各時代各種類に分け系統的に陳列しています。
収蔵品の中には、2018年3月の時点で国宝が89件、重要文化財が643件あります。

本館・東洋館・表慶館・法隆寺宝物館・黒田記念館・平成館の6個の展示館があります。
本館では日本の美術を、東洋館ではアジアの美術・考古遺物を、平成館1階では日本の考古遺物を、法隆寺宝物館では法隆寺献納宝物を展示しています。
表慶館は特別展・イベント開催時のみ開館され、黒田清輝の作品を展示する黒田記念館は2015年1月にリニューアルオープンしました。

周辺には多くのショップやカフェがあり、春と秋には博物館内の伝統的な日本庭園と茶室を見ることができます。
※掲載情報や写真は最新の情報とは限りませんので、必ずご自身で確認の上ご利用してください。

営業期間 9:30~17:00
※毎週金・土曜日は21:00まで
※4月~9月までの日曜日は18:00まで
※黒田記念館は17:00まで
※時期により変動あり
いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(月曜日が祝日または休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始 ゴールデンウィークとお盆期間中は、原則として開館
資料館は、土・日・祝、毎月末日(休日にあたる時はその前日)、年末・年始
※その他、臨時休館あり
詳しくはHPのご案内を確認ください
所在地 〒110-0007 東京都台東区上野公園13-9
03-5777-8600
交通アクセス (1)JR上野駅公園口、または鶯谷駅下車 徒歩10分
(2)東京メトロ 銀座線・日比谷線上野駅(7、9番口)、千代田線根津駅(1番口)下車 徒歩15分
(3)京成電鉄 京成上野駅下車 徒歩15分




建物

東京国立博物館の本館は重要文化財に指定されており、瓦屋根や大階段が有名です。
鬼瓦は屋根全体で33基あり、四神のうち、玄武だけは見つかっていないそうです。
玄関を入ると正面に大階段があり、手すりは大理石に鋳物の装飾がはめこまれています。
吹き抜けの天井は格天井になっています。
最近では1階の庭園側に面したラウンジが撮影スポットで人気になっていて、タイル模様やモザイクなどの装飾も見どころになっています。
壁は宝相華(ほうそうげ)文様、照明はアール・デコ調でインスタ映え間違いなしです。

表慶館は緑青色の丸屋根が特徴的で、2 頭のライオンが出迎えてくれます。
青銅製ライオンは大熊氏広と沼田一雅によって製作されたものです。
これは阿・吽(あ・うん)になっていて、西洋風でありながら、日本の伝統も取り入れられています。

重要文化財の黒門は旧因州池田屋敷表門で、旧丸の内大名小路(現在の丸の内3丁目)にあった鳥取藩池田家江戸上屋敷の正門を移築したものです。
大名屋敷表門では東京大学の赤門と並び称されるものです。

考古展示室

平成館1階の考古展示室は、縄文時代の土偶や、弥生時代の銅鐸、古墳時代の埴輪など教科書に載っている有名な作品に出会えます。
国宝「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」や重要文化財「遮光器土偶(しゃこうきどぐう)」、日本に現存する最古の例だと言われている文字が見られる国宝「銀象嵌銘大刀(ぎんぞうがんめいたち)」、重要文化財「踊る人々」など錚々たる歴史展示物に出会えます。
石器時代から近代までの日本の歴史の流れを展示物を見て学ぶことができ、考古資料を実際の目で見たいという方におすすめです。



東京国立博物館の近くの観光スポット

上野動物園

上野動物園

東京国立博物館からの目安距離 460m(徒歩約6分)

上野恩賜公園内にある東京都立上野動物園は、1882年(明治15年)に日本で初めての動物園としてが誕生しました。
現在は500種あまりの動物を飼育し、日本一の入園者数を誇る動物園です。

上野動物園は日本中でパンダブームを起こしたジャイアントパンダの飼育の先駆けで有名です。

上野動物園の敷地は、東園と西園とに分かれて、園内14haの広さがあります。
最近は、動物の生息環境を再現した展示や間近に見られる展示など様々な工夫をしています。

国立科学博物館

国立科学博物館

東京国立博物館からの目安距離 290m(徒歩約4分)

日本で唯一の総合科学博物館で、館内には「日本館」と「地球館」の2つの常設展示場があります。
「日本館」では、フタバスズキリュウの実物化石標本や、ハチ公の剥製標本、南極観測犬のジロの剥製標本などが展示されています。
「地球館」では、トリケラトプスの実物化石標本、大型の哺乳類や鳥類のはく製が数多く展示されています。
迫力の360度のドーム型3D映画館、物理現象を体験するスポット、小さな子ども向けの屋内遊び場、恐竜やその他の科学関連の商品が並ぶギフトショップもあります。

国立西洋美術館

国立西洋美術館

東京国立博物館からの目安距離 390m(徒歩約5分)

昭和34年(1959)に開館、明治・大正時代の実業家・政治家の松方幸次郎氏のが収集し、経済恐慌や戦争等を経て分散してしまった美術品を再度集めたものがコレクションの基礎となっています。

19世紀~20世紀前半の西洋の美術作品が中心でで、絵画や彫刻を展示しています。
収蔵点数はモネ、ゴーギャン、ルノワール、ルーベンス、ミレー、ロダン等の美術作品約4,500点に及び、新館ではレンブラントの作品が展示されています。
本館はフランスの建築家の巨匠ル・コルビュジェの設計で、2016年に世界文化遺産に登録されています。
館内にはミュージアムショップやレストランもあります。

東京都美術館

東京国立博物館からの目安距離 380m(徒歩約5分)

大正15年(1926)5月1日に日本初の公立美術館として開館した東京府(都)美術館は、1943年都制施行によって東京都美術館に改称され、「美の殿堂」としての役割を担い、都民に「上野の美術館」と呼ばれて多くの人から親しまれてきました。

日展をはじめ多くの美術団体が、美術、書道、生花、盆栽などの展覧会を開いています。
現代美術の作品を中心に収蔵しています。



上野の森美術館

上野の森美術館

東京国立博物館からの目安距離 700m(徒歩約9分)

日本の美術団体としては最も古く、明治12年(1879)に設立された財団法人日本美術協会が設置する私立美術館として昭和47年(1972)に開館しました。

開館以来、重要文化財の公開をはじめ、国際展や多くの企画展の開催、画壇への登竜門として定評のある春の「上野の森美術館大賞展」や「日本の自然を描く展」、「現代美術展(VOCA展)」など独自の展覧も開催しています。

上野東照宮

上野東照宮

東京国立博物館からの目安距離 660m(徒歩約9分)

寛永4年(1627)創建の東京都台東区上野公園に鎮座し、豪華な金色殿が印象的な神社です。
徳川家康公<東照大権現>をお祀りする神社で、東京では数少ない本格的な江戸建築を残しています。
上野東照宮は本殿以外にも、表参道大石鳥居、唐門、透塀など多数のモノが重要文化財に指定されています。
ぼたん苑では、冬ぼたん(1月1日~2月末頃)、春の上野ぼたん祭(4月中旬~5月上旬)が開催されています。

合格祈願、成功や長寿、病気からの快復などの開運祈願におすすめです。



菱川師宣「見返り美人図」

見返り美人図
「見返り美人図」は東京国立博物館に収蔵されている作品です。
菱川師宣の見返り美人図は切手収集家の間ではお馴染みの肉筆画で、菱川師宣の作品では世にもっとも知られた作品となっています。
一人立ち美人図は珍しい作例です。

菱川師宣

菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)は、安房国保田(千葉県鋸南町保田)で縫箔刺繍業を営む父菱川吉左衛門と母オタマの間に、7人兄弟の第4子長男として誕生しました。
安房国保田は、江戸湾(東京湾)に面した大きな漁港のある漁師町です。
生年は不祥ですが、寛永年間の中頃(1630年頃)と推定されています。

絵を描くのが好きだった師宣は、家業の刺繍の下絵などを描きながら、漢画や狩野派、土佐派、長谷川派などに接し、独学で画技を磨きました。

その後、江戸に出た師宣は、最初に版本の版下絵師として活躍しました。
文章を少なく、挿絵を大きく取り入れた絵本で、これが江戸の庶民の間で高い人気となりました。

さらに、鑑賞用絵画としての木版摺りの一枚絵を手がけるようになり、絵画文化の大衆化に貢献しました。
これが後の浮世絵版画のもととなり、岩佐又兵衛と並んで浮世絵の祖と呼ばれることとなります。

師宣は、江戸の庶民を題材とした風俗画を描き、その情報発信にも着目していました。
この頃の師宣の作品は、細やかなタッチで色鮮やかに描かれたものが多く残されています。
肉筆画においても、吉原遊里を描いた吉原ものや歌舞伎役者を描いた歌舞伎ものを細やかで色鮮やかに描き、「見返り美人図」のような独自の女性美を追求し、「浮世」という世相に合った新しい絵画様式を確立したのです。

浮世草子・人形浄瑠璃作者の井原西鶴の処女作『好色一代男』の挿絵を担当したのが師宣で、この作品で浮世絵師として地位が認めらたと言われています。

師宣の代表作「見返り美人図」は師宣の晩年にあたる元禄年間(1688〜1704)に描かれたとされています。

元禄7年(1694年)6月4日、師宣は現在の東日本橋に位置する江戸の村松町にあった自宅で亡くなり、遺骨は別願院に葬られたと思われます。



見返り美人図


「見返り美人図」は菱川師宣の代表作品です。
切手の図案になっていて人気があったため多くの方が知っている作品ではないでしょうか?

面長の顔立ちに細くきりっとした目、すらりとした姿勢は、まさに江戸女を象徴する美形です。

制作は元禄年間(1688〜1704)とされています。

「見返り美人図」の特徴は
・女性のヘアスタイルが玉結び
・鼈甲でできた櫛
で、玉結びは貞享年間(1684~88)に流行したもの、小さな挿し櫛は当時の裕福な町人が金2両出しても手に入れたとされるもののようです。

着物は高級な紅を惜しげもなく使って濃い紅色に染めた綸子で、サテンのような光沢のある生地に、地紋が織り出されている高級絹織物です。

着物の模様は、貞享年間に流行した友禅模様と同じ「花の丸」模様で、鹿の子絞りや、白と縹色の絹糸による刺繍、黄色い花模様は金箔か金糸による刺繍と思われます。

師宣はもともと縫箔刺繍業の家に生まれ、刺繍の下絵を描いていたわけですから、着物の模様を描くのは手馴れたものだったのでしょう。

振袖を着ているということから、女性は結婚前だということもわかります。

女性の着物の後ろで結ばれる帯は「吉弥(きちや)結び」と呼ばれ、女形役者・上村吉弥(かみむら きちや)にちなんだ帯結びです。
人気役者の新奇な姿は町方の注目となって大流行した帯結びの1つです。

このように見ると、菱川師宣が当時流行していた最新かつ最高に贅沢なファッションを取り入れて描いていることが分かります。

切手趣味週間・見返り美人

切手収集家でお馴染みの見返り美人は昭和23年(1948年)発行で額面5円でした。
「見返り美人」は小さな芸術品とも言われ、切手趣味の週間記念として販売されたものです。
当時はがきに貼って郵送すると、郵送中に剥がされ盗まれるのでは、という噂になるほど人気の高い切手でした。


1948年の発行当時は、浮世絵が切手の題材となるのがとても珍しく、図柄の美しさもあって、国内のみならず外国からも脚光を浴びた切手でした。
名品と名高い大判の見返り美人の初代バージョンは今もコレクター間での売買が盛んです。

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まとめ

いかがでしたか?
東京国立博物館は上野にあり、日本の歴史だけでなく、古美術品、考古資料、東洋美術品などは幅広く展示されています。
また東京国立博物館には菱川師宣の「見返り美人図」が収蔵されており、見返り美人図には江戸文化の流行が集約されていることがお分かりいただけたと思います。

残念ながら見返り美人図は常設されてはいませんが、上野に行く機会があれば、東京国立博物館を中心に美術巡りをしてみてはいかがでしょうか?




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